オレが一番まもりたかったモノ。
自分の影を…みるたびに。
あいつの事を思い出す。
《オレが一番まもりたかったモノ》
草原を全速力で駆け抜ける。
風は自分の後ろに生まれる。
音は後からついてくる。
高い崖でも、深い谷でも。
オレにとっては障害物競争みたいなもんだ。
最近は、越えなれちまって、ちっとも面白く感じない。
(………水だけは勘弁してくれよ)
これならまだ、エッグマンのおもちゃ共を相手に、遊んでいた方がマシかもな。
ひときわ高くそびえる、段崖絶壁に登りつめる。
眼下の景色は、それはそれは並ぶものがないくらい綺麗だ。
太陽を近くに感じる。
ふと、足元を見る。
そこにあるのは自分の影。
自分の影を…みるたびに。
あいつの事を思い出す。
箱舟の落下を食い止めた、自分とそっくりな黒いハリネズミ。
「よぉ。あれで終りだなんて、思ってないぜ。」
影に向かって独り言。
箱舟を落とす為だけに生まれ、箱舟と共に落ちるつもりでいたんだろう?
でも、結局最後には、守りたいものを守ったじゃないか。
自分の右手を見る。
掴み損ねた、あいつの手。
俺の手に残った、ヤツの残骸。
手を…伸ばしたこと、オレは間違っちゃいないって、今でも確信してるんだ。
伸ばし返したお前の手は、もう力つきて満足気だったけど。
自分の目的の為だけに、自分の命も投げ出すなんて、オレは嫌だね、そういうの。
オレは絶対、投げ出したりしない。
どんなことでも。何があっても。
生きるのを、投げ出すなんて間違ってるさ。
「お前だって、本当は、この景色を見たかったんだろう?」
心のどこかで、生きたい生きたいって、思ってたんだろう?
だから、オレは終りだなんて、思っちゃいないぜ。
この広い空の下、どこかで眠ってんじゃないかって。
究極の生命体なんだろ?
ひょっこり、生き返って戻って来いよ。
「そしたら、世界を走るのも、少しは面白くなるかもな。」
どんな事にも刺激は必要。
後ろから、追い付いてくるアイツなら。
刺激としては、それで充分。
オレが一番まもりたかったモノ。
オマエが一番まもりたかったモノ。
世界は今日もキラキラと、あったかい陽の光であふれてる。
SA2直後のソニックを描いたものです。
またまたprison様からお題をいただきました。
少し、他サイトさまからの影響も…あるかな。
シャドウの心情のくだりなんかはね…。
題名を読んでいて、天からフワフワ降って来たSSです。
自分でもほとんど再考せずに、サラッと書くことが出来ました。
珍しい…w
結局彼は、この後のヒーローズで再会するんですよねw
その時のソニックの反応が、生きてて当たり前だろ?って感じだったので。
そんな所からも影響があります。
シャドウが居なくなって、ポッカリ穴が空いたのは、ソニックの方だったのではないか…と、私も思っています。ww