Rain

不意に頭上から何かが落ちてきた。
とっさに身構えるが、そこには何も無い。

周囲を見渡す彼の体に、
ぽつりぽつりと水滴が落ちてくる。
初め、それが何を意味しているのか、彼には分からなかった。

混乱しているうちに、落ちてくる水滴は増えてゆく。
いつしか周囲は、雨音の奏でるハーモニーで満ちていた。

そこで彼はやっと気付く。
これが「雨」という存在であるということを。

在りし日の、少女と話したかすかな記憶をたどる・・・

青い星には、雨というものが降り、大地を潤し、恵みを与えるのだと。

「・・・・これが・・・雨・・・か。」

願えども、願えども。叶わなかった少女の望み。

「・・・案外、冷たいものだな・・・」

彼を濡らす天からの涙は、次第にその強さを増していた。
























夜中の雨音を聞きながら、ふと思いついたのです。
人に作られ、アークで過ごし、地球に落ちて全ての記憶を失ったシャドウ。
地球の自然現象は、きっと始めての経験だったんじゃないのかな。
知識としては、あるかもしれないけれども。
ああ、コレが、マリアから聞いた雨か。
でも、コレが雨だよ。と、一番伝えてあげたい相手は、もうこの世にはいないのです。
そんな切ない思いを持つ、シャドウが好きです。
ちょっと、女々しいかもしれないなあ。ww
私が描くシャドウは、女々しくなってしまいがちですねwww