dandelion

50年前に造られた、スペースコロニー アーク。

そのアークで、いったい過去に何があったのか。個人的に考察を重ねて作り上げたものです。
オフィシャルの設定など、なるべく調べあげて制作したつもりですが、公式発表されているものと、相違点があるかもしれません。
その時は…個人の制作物ということで、温かく見ていただけたら幸いです。



















低い機械音の鳴り響く、薄暗い部屋。
無数の青白いモニターに囲まれて、一人の老人は、一心不乱にキーボードを叩く。
無機質な部屋に、キーボードを叩くカタカタという単調な音が、途切れる事なく続いていた。
その部屋の中央には、水槽のような…半透明の円柱型のカプセルが横たわっている。
地面に垂直ではなく、まるで周囲の機械類に守られるように、傾斜して支えられているそれの中には、ある生命が深い眠りについていた。

永遠に続くかと思われたキーボードの音は、ある一人の来訪者によって止められた。

コンコン。

扉をノックする音がする。
老人はピタリと手を止め、突然の来訪者が、扉を開けて入ってくるのを待つ。
「お祖父様…?いらっしゃる?」
綿の青いドレスを纏った可憐な少女が、扉から室内の様子を伺っていた。
「おお…おお…。マリアか。良く来たな…。今日は、体の調子は良いのかな?」
「ええ。お祖父様。今日はとっても調子が良いの。鬼ごっこだってきっと負けないわ。」
ニッコリと笑って老人に語りかける少女は、まるで早春の野原に咲く、花のようだった。

それは老人にとって、どんな宝石にも勝る、かけがえのない宝物だった。
「…で、今日はどんな御用かな?」
「あ、そうそう。ラボの第3班の皆さんが、呼んでいるわ。なんでも、プログラムに欠陥が見つかったとかで、どうしてもお祖父様に見てもらいたいって…」
そう話しながら、マリアは部屋の中に視線を巡らせた。
自分の話している内容の重大さは、よく解っていないらしい。
老人の表情が曇る。
(…プロトタイプはまだ不安定か…。こちらはほぼ完成に近づいておるというのに…)
ふと、祖父の部屋の中央に大きな円柱型のカプセルを見つけ、恐る恐る近づいてゆく。
覗いてみると、中には何かが横たわっていた。

人…のような形をしてはいるが、人では無かった。
闇を凝縮したような漆黒の体に、真紅の鮮血のような朱が混じっている。
見たこともない生命体だが、マリアには不思議と不安感は無かった。
生まれてから、この歳になるまで、祖父が産み出してきた数々の発明や、生命体を目にして来ていたからかもしれない。
「お祖父様、また新しい人工生命体なの?」
老人は、愛しい孫娘が、自分の研究に興味を持ってくれるのが、嬉しくて仕方ないといった表情をしながら、語り出す。
「そうだよマリア。こいつは、シャドウと言うんじゃ。究極の力と生命力を持っておる。こいつの研究を進めていけば、いつしかお前の病気を治す手だても…見付かるかもしれんと思ってな…」
 
マリアがじっ…とシャドウを見つめる。
カプセルの中に眠っている者は、何かの動物と人とを重ねて型どったもののようだ。
 
シャドウと呼ばれる生命は、カプセルの中で静かに目覚めの時を待っていた。




スペースコロニー 《アーク》。


箱舟 という名前のつくそれは、人類初の宇宙居住型スペースコロニー。
世紀の大天才科学者、《ジェラルド・ロボトニック》を筆頭に、優秀な科学者達が集まり、日夜様々な研究をする、ラボでもある。

この中で、今、《プロジェクト・シャドウ》という、大規模な研究が行われていた。
『本来ならば、存在しえないもの』という所から命名されたこのプロジェクトは、表向きは難病のための治療方法の研究とされてはいたものの、実際にはもっと他の研究がなされていた。
全ての生命に等しく訪れるもの。
死。
生あれば死がある。それは世の中の不変であって、決して抗う事のできない物だ。
それに対する、神への暴騰ともとれるような研究が、今のアークでは為されていた。



細い、金糸のような髪が、フワフワと踊る。
青いドレスの可憐な少女は、胸に小さなガラスの鉢を持って、軽やかに歩いていた。
少女の動きに合わせるように、鉢植えにされた小さな花が、フラフラと踊る。
それを見る少女の顔は、嬉しくてたまらない、と言った風だった。

ラボの中でも、奥の方に位置する小さなホール。
そこには大きな窓があり、そこから地球を眺めるのが、マリアはとても好きだった。

生まれた時からアークで育ち、アーク以外の世界は、本の中でしか見たことは無かった。
最近は少し外出も出来るようになったものの、彼女の人生の半分以上は、ほぼベッドと共にあった。

先天性免疫不全症候群。

NIDS と呼ばれる、難病の一つに、マリアの体は侵されていた。現在においても、確たる治療方法の確立していない難病である。
そんな大病に侵されながらも、明るく無邪気に振る舞う彼女は、祖父にとっても、ラボの研究員達にとっても、陽の温もりのような存在だった。

マリアは、先ほどからある人物に、自分の持っているものを見せたくて、その人物を探していた。
自分の大好きな青い星を臨める小さなホールは、その人物にとってもお気に入りの場所であるらしかった。
おそらく、そこに行けば、会えるに違いない。


小さなホールの入り口は、ロックがかかっていなかった。
付近の壁にある、開閉用のボタンに手をかける。
スライドして開いてゆく扉の向こうに、マリアは探していた人物を見つけて、思わず笑みをこぼした。
「シャドウ!やっぱりここにいたのね?」
不意に声をかけられ、その 人のような生き物 は、ハッと振り返った。
漆黒の体に、ところどころ、鮮やかな朱が混じっている。
髪…にあたる部分は、大きくはね上がり、針やトゲを連想させる。
手には手袋をはめ、足には特別製のシューズをはいていた。
両手両足首に、金色に鈍く光るリングをつけている。
 
シャドウと呼ばれた者は、少し戸惑った様子だったが、すぐに窓の方へ向き直ってしまった。
マリアがシャドウの隣に並ぶ。
「ねぇねぇ。これをみて!シャドウ!」
マリアは、胸に大事そうに抱えていた鉢植えを、シャドウに差し出した。
ガラスの容器に、ジェリー状の保湿材のようなものが詰まっており、そこには1輪の野草が根をはって、黄色い可愛らしい花を咲かせていた。
「これは…何だ?」
シャドウがいぶかしんで尋ねる。
「綺麗に咲いたでしょう?」

真ん丸とした花弁、ギザギザとした葉。
「フフフ。シャドウは花を見たことないのよね?」
「はな?」
「そう。花。この花はね、ダンデライオンっていうんですって。お祖父様が、強くて育ちやすいからって、地球から持って来てくれたのよ。お花を育てたのは初めて。いつもなかなか触らせてもらえないから……」 マリアは慈しむように花を触る。
「葉っぱが、ライオンの歯に似ているから、ダンデライオンなんですって。…そういえば、シャドウの髪は、まるでライオンのタテガミみたいね。」
クスクスとマリアが笑い声をたてる。
シャドウの体のモデルは、ハリネズミだ。
それを知っているマリアは、シャドウをからかっているのだろう。
ライオンと言われてもピンと来ないシャドウは、怪訝な顔をしながら、窓の外の青い星を見つめていた。
一緒に、マリアも青い星へと視線を投げる。
「シャドウも、地球が好き?」
そう問われたシャドウは、返答に困ってしまった。
好き…という感情の経験に乏しく、何を好きと差すべきなのか、判断しかねていたためだ。
人に造られ、目覚めて間もない自分に、マリアがぶつけてくる真っすぐな感情の波は、シャドウを混乱させる事が多かった。

「よく…わからない。」
「私は…好きよ。一度も行った事は無いけれど…。」
マリアは、大事に抱えた花をみる。
「いつかね…お祖父様が、私の病気を治してくれたら…。あの地球に行くの。地球にはね、こんな可愛らしい花が、たくさんたくさん咲いていて、とても広くて綺麗なんですって!」
喜々として語るマリア。
しかし、その表情はすぐに沈んでしまった。
「行ってみたい…」
自分の病状を思えば、こうやってラボの方に来ることさえ、冒険なのだが。
叶うはずもないと、諦めてしまうことは…まだ12歳の少女には出来なかった。
少し感傷気味のマリアに戸惑い、シャドウは考えあぐねて口を開く。
「マリアは…どうしてあの星に行きたいんだ?」
突然の疑問の投げ掛けに、どう説明しようか、マリアは考えを巡らせた。
「どうしてっ…て…。小さい頃から、ずっと行きたくて…。あそこには、海っていうのとか、山っていうのがあって、風が吹いてて…。花が沢山あって…。動物だって、沢山いて…。」
思いは募るが、なかなか言葉にして説明するのは難しく、ましてや生まれて間もないシャドウに理解してもらうには、どう説明したらよいものか………。
ましてや自分が触れたことも無いものの魅力を語ることは、大の大人でも難しい。

「そう!命よ!」
マリアが、良い言葉を見つけたようだ。
「あの地球には、沢山の命が溢れてる。だから、私はあそこに行ってみたい。」
簡潔に、自分の思いが言葉に出来た。それだけでも、マリアは満足気だった。
「……………命?」
「そう。命。この小さな花にも。私にも。シャドウにも。みんなにたった一つしかない、大事な命。」
「…………僕にも?」
「そう。命は大事に守らなくちゃいけないのよ?」
マリアはまるで、小さな子供に諭すかのように、シャドウに話して聞かせる。
「……僕には…よくわからない………」
シャドウにとっては、まだ命の価値というものの理解は、し難いものだった。
マリアは、それでも微笑みを絶やさない。
「今は、まだわからなくても仕方ないわ。シャドウは生まれたばかりだもの。これから沢山、覚えて行けばいいんだもの。シャドウに色々なことを教える為に、たくさんたくさん長生きしなきゃね!」
 そう言って笑う少女の顔を見ながら、シャドウは、この笑顔の主をいつまでも守ってやりたいと、密かに思う。

それは、命を守る、という事と同じ事なのだろうか…?

急にけたたましい警報音が鳴り響いた。

二人は、はっとして辺りを見渡す。
悲鳴らしき声と、かすかな銃声のような音が遠くのブロックから聞こえてくる。
マリアは身を固くして、シャドウに寄り添った。明らかに脅えている。

何が…起こっているんだ?状況が掴めない以上、まずは脅えるマリアを安全な場所へ連れて行かなければ…。

そうシャドウが考えを巡らせた途端、ホールの扉が不意に開いた。
白衣の数人の男女が駆け込んでくる。
手に手に小さな銃を持ち、必死の形相をしている。
中には、白衣に赤い血がにじんでいるものもいた。
ラボの研究員であることには間違いなかった。

「み、みなさん、どうしたんですか?大丈夫ですか?」
マリアが声をかけた。
研究員達の顔色が変わる。
「ロ、ロボトニック…」
「あれは…シャドウか?」
「あれが…シャドウか…!」
研究員達が手にしていた銃口を二人に向ける。
マリアをかばうように、シャドウが立ちはだかった。
「……何の真似だ……」
「今…このアークが…どういうことになっているのか…知らないようだな…」
研究員の一人が、震える手を必死にあやつり、シャドウに銃口を向けなおす。
「もう…もう…終りだ…何もかも終わってしまった…死にたくない…お前さえ…お前さえいなければ…!」
ガタガタと、手が震えている。
シャドウは、微動だにせず、男の言葉を聞いていた。
他の男が、ポツポツと話だす。
「アークは…もうすぐ軍によって制圧される…。もうここも時間の問題だ。プロジェクト・シャドウの接収が決定したのさ。」
「………?せっ…しゅう?」
マリアが首を傾げる。
「…軍の連中は、ずいぶん、そこのシャドウとやらにご執心だぜ?血眼になって捜してる…」
「なぜだ…なぜ、僕を捜す?」
「不老不死で究極の破壊力を持つ生物兵器なんて、こんな世の中、何処を捜したって見つからない…。喉から手が出るほど欲しいだろうさ」
生物…兵器…!

シャドウの心の奥底でザワリと何かがうごめく。
「兵器だなんて…!シャドウはっ…シャドウは…!」 
マリアがか細い抗議の声を上げる。
「おかげでオレタチは、危険な生物兵器を産み出したテロリスト集団扱いさ。軍の下っ端のやつらなんか、何にも知らずにヒーロー気取りで、危険な生物を産み出す研究は全て抹消する!だとさ。ヘドが出るぜ。自分達が何のために使われてるかも知らずに…」
男はガンッ!と壁を蹴る。
どうにもならない悲痛感が、研究員の間に漂っていた。

マリアがハッと口元を押さえる。
「お、おじいさま…お祖父様は…?」
駆け出しそうになるマリアを、シャドウはグッと腕で制す。
「ロボトニックの事なんか知るか…!やつはこのプロジェクトの全ての元凶なんだ!どうなったって知るものか!ヤツが…軍に逆らったりしたから…!」
マリアはショックを隠しきれなかった。
つい昨日まで、自分の祖父と手に手を取り合い、知識を共有し、人類のさらなる発展の為を思って、研究を重ねてきた仲間達が…今、目の前で自分に銃口を向けているのだ。
目の前の研究員のなかには、マリアを可愛がり、いつも声をかけていてくれた者もいる。
しかし、その者の優しい面影は、もう成りを潜めていた。
ギリギリと張りつめた緊張感の中で、マリアの心は張り裂けそうだった。
「何で…?どうして…こんなの…こんなの嫌だよ…」
12歳の少女の心に、現実が重く、重く、のしかかる。
シャドウはマリアを気遣いながらも、手を出しあぐねていた。
自分が力を振るえば、人間が数人かかって来たところで返り打ちするのは簡単だ。
だが…マリアは?
何かの拍子に、傷つくかもしれない…。
それに、自分が力を振るうのを、優しいマリアにあまり見せたくはなかった。

「そ…そうだ…」
一人がつぶやく。
「マリア…ロボトニック…!こいつを軍に差し出したら…シャドウも…この人数で押さえ付けて捕まえたら…もしかすると…命だけでも…助かるかもしれないぜ…」

研究員達の顔色が変わってゆく…。
全員の目が、マリアに向けられた。
一涙の希望をそれに託そうというのか。
そして、手にした銃口が一斉にシャドウに向けられ、火を吹いた。
「やめてぇぇぇっっっ!!!!」

とっさな事でシャドウの判断が遅れる。
マリアが自分に覆い被さるように、抱きついてきたからだ。
「!?マッ…マリアッ…!?」
シャドウに向けられた銃口から放たれた銃弾は、マリアの体の一部を貫く。赤い鮮血が、空気中を彩ってゆく。
マリアが大事に抱えていた、大切に育てた黄色い可憐な花は、花びんと共に地面に落ちて、ガラスの割れる音と共に、大きく飛び散った。

それを見ていたシャドウの中で何かが…
何かが、音を立てて割れる。


闇が…動いた。


「うぎゃああああ―――――――っっっ!!!!」
断末魔の悲鳴…どころではない。それは、自分の伺い知らぬ恐怖に襲われた、雄叫びに近かった。 闇を固めたような「それ」 はまるで、赤子が紙を千切って遊ぶかのように、易々と人の体を引き千切ってゆく。 鮮血で染まってゆく体を気にも止めず、人であったもの の屑肉を踏み潰し、最後の 人の形をしているもの に手をかけた。
「ひぃああいうあ……っっ!!!… たっ……たす…たすけ…」
言葉など、届く筈もない。
最後の願いも虚しく、 人の形をしているもの は、鮮血を吹き上げながら、ただの肉塊と化してゆく。
闇の瞳には、ただただ、鮮血を映したような紅い光だけが宿っていた。

最後の屑肉を踏み潰し、闇は破壊を終えた。
途中。
少女が制止の声を、何度も自分に向けているのは知っていた。
けれど。
自分の内側に噴き上げた憤りは、とどまる所を知らず、自分の中の血がそうさせたのか…。全てを破壊し尽そうとする、衝動を押さえきることができなかった。

手も。
足も。
トゲも。

全てを鮮血で染めた闇は、泣き崩れている少女に…一つの言の葉をも、かけてやる事が出来ずにいた。

ふと…。足元には、少女が大切に育てた黄色い可憐な花があった。
血に染まりきり、もう、花なのかどうかも分からない。
闇は黙ってそれを手に取ると、何を発する事もなく。ただただ、それを見つめていた。

「………怪我は…。大丈夫か?」
闇は、やっとそれだけしぼりだすと、また沈黙してしまった。
沈痛な…自責の表情が、薄く浮かぶ。
少女の方を、見ようともしない。
少女は…ただ黙って、コクリ。とうなづいた。
遠くから、ダカダカと大勢の足音と、銃声が迫ってきていた。

闇と少女はハッと顔をあげる。

遠くの様子を探ろうと、闇は全神経を集中していた。
少女をみやると…不安気な表情を浮かべながら、自分に、どうするべきか、問うているようだった。
その表情を見た闇に…疑問が浮かぶ。

この人は…。僕が怖く…ないのだろうか…。
あれだけの惨状を…目の前で見せたこの自分に、恐怖し、拒絶してもおかしくないだろうに…。

立ち上がろうとする少女を、手で制し、扉に向かって歩を進める。
「……ここから出るな。ここにいろ…。」 扉に手をかけ、開かれる瞬間、背後から少女の温もりが飛び込んで来た。
「お願い…!お願いよ…シャドウ……もう…誰も殺さないで………」

息が…止まるかと思った。
激しい自責の念が、胸を刺す。

この人間は…。
自分の命を脅かす存在が、すぐ目前にまで迫っているというのに!
他人の命を…思いやっている時ではないというのに。

シャドウは、奥歯をギシリと噛み締めながら、ゆっくりと頷いた。

自分が力を振るえば…この少女を守る事くらい、容易い事だというのに…。
君は、自分の命よりも、他人の命の方が…重いのか?
造られた自分に、その価値はいつか理解出来るのだろうか…。

シャドウは少女の手を取ると、気遣いながら、走り出す。

今は…。
今は逃げよう。
二人で、何処か、恐怖の手が届かないくらい…遠くへ。





数日後。

軍によるアークの封鎖は完了する。

アークの接収が決定したのは、ジェラルド・ロボトニックが、再三に渡るプロジェクト・シャドウの軍事利用への拒絶が、元凶の一つであったと考えられる。

アークでの惨事は、不幸なバイオハザードとして公表され、研究所の所員、及び関係者は、不幸な事故の犠牲者として発表された。
その犠牲者の中に、マリア・ロボトニックの名前も記述されていた。

プロジェクト・シャドウを全面的に手掛けていた、ジェラルド・ロボトニックは拘束され、表向きはバイオハザードを起こした張本人として処罰される事となった。
だが、本来の目的は、違う所にあったと推測される。

プロトタイプとして作り上げた、巨大なトカゲ型のシャドウは、軍事利用しようにも、全く言うことを聞かず、凶悪な生命力の為に、破壊もできず、アークとともに封印された。

もう一人。
マリアの手により、青い星へ脱出させられたオリジナルのシャドウは、その後、彼女の願いも虚しく、軍の手により回収。
拘束されたジェラルド・ロボトニックの手により、より完全な兵器へと改良が加えられたと考えられる。

その際、マリアを失った悲しみから、ジェラルド・ロボトニックは、シャドウを復讐の道具として、又、軍の制御の及ばないものへと変貌させた。
この事から、再三の軍への反逆行為も重なり、最終的には銃殺刑に処せられた。

オリジナルのシャドウは、ジェラルド・ロボトニックの施した、頑強なプロテクトに守られ、利用不可能と判断した軍は、プリズンアイランドの地中深くに、最終機密兵器としての封印を決定する。




そして。
50年の歳月が流れ………。

再び 影 が目覚める。