
不意に頭上から何かが落ちてきた。
とっさに身構えるが、そこには何も無い。
周囲を見渡す彼の体に、
ぽつりぽつりと水滴が落ちてくる。
初め、それが何を意味しているのか、彼には分からなかった。
混乱しているうちに、落ちてくる水滴は増えてゆく。
いつしか周囲は、雨音の奏でるハーモニーで満ちていた。
そこで彼はやっと気付く。
これが「雨」という存在であるということを。
在りし日の、少女と話したかすかな記憶をたどる・・・
青い星には、雨というものが降り、大地を潤し、恵みを与えるのだと。
「・・・・これが・・・雨・・・か。」
願えども、願えども。叶わなかった少女の望み。
「・・・案外、冷たいものだな・・・」
彼を濡らす天からの涙は、次第にその強さを増していた。